蕎麦をしめるのは常温水です。
理想を言えば15~18℃の井戸水ですが、氷水はいけません。
蕎麦を急速に、そして必要以上に冷やしてしまい、釜から上げた蕎麦が、余熱で馥郁となる間を
奪うからです。
冷酒(れいしゅ)と冷や酒(ひやざけ)の違いのようなものだとお考え下さい。
水槽は少なくとも2槽は必要です。
一つは蕎麦を冷すためで、もう一つは水を貯めて置くためです。
蕎麦を引き上げた上げ笊を、笊ごと水槽に入れます。
隣の水槽に予め貯めておいた水を桶で汲んで、蕎麦の上から満遍なく数回掛けます。
これは粗熱を取るためです。
粗熱を取るということは、蕎麦の麺線と麺線の間に溜まっている湯を流してしまうことです。
水を何回か掛けたら上げ笊の下に手を入れてみます。
生温かさが感じられなければ、湯は流れてしまっています。
しかしこの時点では蕎麦の麺線の内部は熱がまだ込もっています。
そこで麺線をしっかり冷やし蕎麦をしめるために、水を溜めているシンクに上げ笊ごと浸けます。
同時に蕎麦に直接当たらないよう笊を避けて水を入れ始めます。
両手を開いて腕を広げ笊に沿って笊の両側から底まで指を入れ、蕎麦を笊の底から水が湧くように
泳がせます。決して揉んだり手荒なことはしてはいけません。
赤ちゃんの柔肌を触るように、です。